読解の前提条件
読解の訓練効果を最大限に発揮するためには、テストと同じ環境・条件で取り組むことしかありません。
1、設定時間を明確に決めてから解く
家で解く時間を延長できても、テストでは終了時刻がきたらそこまでです。
よって、ふだんから厳しく時間を計ってどの問題に何分かければよいのか、時間配分を意識しましょう。
「何分で何問解ける」という感覚が構築できれば、模試で空欄を作るなどの取りこぼしがなくなり、急な偏差値の低下は起きにくいはずです。
2、演習中の筆記用具は鉛筆(シャーペン)と消しゴムのみ
テスト中は鉛筆と消しゴムしか机の上に出すことができません。
よって、家で演習するときは、色ペンや物差しなどは使わないでおきましょう。
解き終わったあとのやり直しや分析、文章自体の整理を行うときには「可視化」も必要ですから、色ペンを使った学習も可となります。
3、時間設定➕緊張感
家での演習は無意識に気が緩みがちです。
制限時間に緊張感をプラスして取り組むと、本番と同じような状況下で臨むことができます。
(例)保護者の目の前で解く
(例)合格点を決めておき、満たなければペナルティー(課題を増やす)を自らに与える
などの制約をつけて取り組んでみましょう。
お菓子を食べながら、ジュースを飲みながら…というのは厳禁です。
4、まとめ
自宅学習でやったこと以上に力が発揮されることはありません。
「家で解いたらできた(できる)のに」という状況下にあるならば、ふだん取り組む際の前提条件がまだまだ甘い、ということも考えられます。
受験当日を迎えるまでは、心を鬼にして塾の大きなテストや自宅学習において疑似体験を重ねていくことが大切だと思います。
読解方法
A 読み方
1 本文を通読する前に設問をチェックする。
通読する前に設問を見ておけば、有利に働く場合があります。
設問は、本文全体の中心内容を問うものであり、キーワードや要点が隠れています。本文を読む前にさらっと通読しておきましょう。
とくに段落分けや場面分けを問うもの、誤字脱字修正を問うもの、知識単元(漢字・語句・文法)のような文章内容とは切り離して解けるものは先に設問を見ておけば、一度目の通読の際に解き終えることも可能でしょう。
2 本文を整理しながら読んでいく
文章を整理しながら読むことは、解く上で大切な“作業”です。
わざわざ労力をかけて印をつけたり、線を引いたりすることが推奨されるのは、それだけ「解きやすくなる」からです。高得点を取るには、読むときにどれだけ情報を整理できるか、理解できるかにかかっています。
説明的文章であれば、接続語/指示語/対比/類比/因果/定義文/段落分け/筆者の主張
文学的文章であれば、人物名/事情や状況(環境や性格、生まれなど)/場面分け/はっきりとした心情用語
にしっかり意識を向けましょう。
B 解き方
1 設問の意図や意味を理解する
読み方が上達して文章整理ができるようになっても設問の意味がわからなければ解けないのです(=点数にはならないのです)。
たとえば、
問1に、傍線部「ここでの矛盾」とありますが、この矛盾はどうして生じたのですか?本文の言葉を使って説明しなさい。という記述の設問があったとします。
ある生徒Aは、文章整理をしっかりとこなし「矛盾」の内容をきちんとつかんだ状態で問題文を読みました。
そして、いざ解く段階になったときに「矛盾」の内容説明をしてしまったとしたらどうでしょうか?
問題では「矛盾」が生じた理由を聞かれています。それなのに「矛盾」の内容を説明してしまった。それは、当然❌となりますよね。
つまり、「理由説明」の問題を「内容説明」と捉えまちがえて解答してしまった結果、内容をつかんでいるにも関わらず、しかも記述に時間を費やした挙句に❌となってしまったのです。
このようなミスを引き起こさないためにも、慣れるまでは問の条件自体に線を引いたり印をつけたりしましょう。
例 ~とありますが、それは誰の、どのような武器ですか?
~とありますが、A君はなぜそのような行動をしましたか?
2 解答の構成を考える。
記述問題と記号選択問題と性質がちがいます。文章内容と設問を両方理解できたら、ようやく解答を構成する段階に入ります。
①記述問題→自分で解答を組み立てる
②記号選択問題→すでに組み立ててある選択肢の中から正しい組み立てのものを選ぶ
記述問題や記号選択問題の得手不得手は、問題の性質による差から生じるのでしょう。
パターン1
記号選択はできるけど記述問題は苦手な子
本文から正しい情報を引っ張ってきて照合させるのは得意、しかし、それを自分の頭で組み立てて具現化する作業が苦手。
パターン2
記述はある程度書けるけれど、記号選択でなぜそれを間違うのという子
内容理解はできているが、答えを雑に求めてしまい、記号の内容と本文を照合する作業が精密ではない。そのため、本文を確認せず、記号の選択肢(例 ア~エの4つ)のみを読んで答えている場合がある。
いずれの場合も、答えに使おうと思う場所に〈 〉をつけたり、線引きしたりして、本文根拠を確かめてから問題にあたることで、解決できるでしょう。
☆答えは必ず本文に書かれています。